金融

ファクタリングであれば、貸金業法の適用なく、事業を行うことができると聞いたのですが、本当でしょうか。

Answer

ファクタリングとは、企業が有する売掛債権等を買い取ることにより、資金を提供するサービスをいいいます。

このファクタリングによる資金調達は、2020年4月に行われた民法の改正において、譲渡制限付債権の譲渡が有効であるとされたことを契機として日本においても広まってきました。

特に、このファクタリングが有効な債権譲渡として行われている場合においては、金銭消費貸借契約であると評価されないことから、貸金業法の適用はないと考えられます。

では、どのような場合に、ファクタリングは有効な債権譲渡と評価することができるのかが問題となります。

この点については、日本法上、真正譲渡性の要件について確立した判例(※)及び学説はありませんが、次の事情を総合考慮し、真正譲渡性について判断されるべきであると考えております。

  1. ①当事者の意図
  2. ②目的物の実在性
  3. ③譲渡対価の妥当性
  4. ④法的支配権限の移転
  5. ⑤経済的リスクの移転
  6. ⑥被担保債権の不存在
  7. ⑦対抗要件の具備

※下級審における裁判例として、当事者間のファクタリング取引が金銭消費貸借及びその返済に準じるものとされた事例(大阪地方裁判所平成29年3月3日判決判例タイムズ1439号179頁)、当事者間の集合債権譲渡契約による債権譲渡について真正譲渡ではなく譲渡担保であると認めた事例(東京高等裁判所令和2年2月14日金融法務事情2141号68頁)などはあるが、必ずしも明確な判断基準を示しているものではない。もっとも、当職の見解にそった考慮要素を踏まえた事実認定を行っているものと思料される。

想定されているスキームが、上記の各要件を満たしているかどうかはケースバイケースで判断する必要があることから、詳しくは、当事務所までご相談ください。

特に、ファクタリング取引については、貸金業法の所管庁である金融庁も注意喚起を行うなど(https://www.fsa.go.jp/user/factoring.html)、不適切なファクタリングが行われないように目を光らせています。

あとから金融庁から警告をうけたり、貸金業法違反と評価されることがないように、しっかりとしたスキームを構築することが必要ですので、金融法務を主たる業務の一つとする当事務所に是非ご相談ください。