金融

当社は、IFAとして、金融仲介サービスを提供しています。 今回、金融サービス仲介業が創設されたということですが、どのようなものか教えてください。

Answer

2020年6月、fintech業界では、注目であった、「金融サービス仲介業の創設・資金移動業の規制の見直し」が行われました。
「金融サービスの利用者の利便の向上及び保護を図るための金融商品の販売等に関する法律等の一部を改正する法律」が成立したのです。

 色々な改正の経緯はありますが、まずは概要を把握することが重要であると思いますので、全体像を把握しましょう。

今回の改正は、

①オンラインでのサービスの提供が可能となる中、多種多様な金融サービスのワンストップ提供に対するニーズ
②キャッシュレス時代に対応した、利便性が高く安心・安全な決済サービスに対するニーズ

というニーズに対応し、金融サービスの利用者の利便の向上及び保護を図るため、金融商品販売法を「金融サービスの提供に関する法律」に改正し、資金決済法等を改正ことになりました。

重要な改正その1「金融サービス仲介業の創設」

「金融サービス仲介業」という新たな許認可業が創設されました。
この登録を受けることにより、銀行・証券・保険すべての分野のサービスの仲介を行うことができることになります。
なお、一定の要件を満たせば、電子決済等代行業の登録手続も省略可能となります。

主な規制の内容は次のとおりです。各項目の詳細については、今後連載をしていきたいと思っています。

1)特定の金融機関への所属は必要ありません。
2)利用者財産の受入れは禁止されています。
3)仲介にあたって高度な説明を要しないと考えられる金融サービスに限り取扱が可能となります。
4)利用者に対する損害賠償資力の確保のため、保証金の供託等が必要となります。
5)利用者情報の取扱いに関する措置や利用者への説明義務、禁止行為などは、仲介する金融サービスの特性に応じて規定されており、その内容を遵守することが必要となります。

これら以外にも、規制が設けられる予定であり、今後、監督指針などが整備され、認定金融サービス仲介業協会が設立され、その自主規制などが公表されていくことが予定されています。

重要な改正その2「決済法制の見直し」

キャッシュレス時代に対応した、利便性が高く安心・安全な決済サービスに対するニーズをとらえ、決済法制について、次の見直しが行われました。

1 高額送金を取扱可能な類型を創設

まず、海外送金のニーズなどを踏まえ、100万円超の高額送金を取扱可能な新しい類型(認可制)が創設されます(第一種資金移動業)。

この第一種資金移動業については、事業者破綻時に利用者に与え得る影響を踏まえ、利用者資金の受入れを最小限度とするため、具体的な送金指図を伴わない資金の受入れを禁止される(なお、事業者は、送金先や送金日時が決まっている資金のみ、利用者から受入れが可能となります。)など、これまでの資金移動業者に比べ、規制が強化されています。

2 少額送金を取り扱う類型の規制を合理化

また、「少額」(金額については、まだ確定していません。)の送金のみを取り扱う類型が創設されました(第三種資金移動業)。

これにより、資金移動業者は、次の3つの類型に分かれることになりました。

A:100万円超の高額送金を取り扱う資金移動業者(第一種資金移動業者)
B:100万円以下の送金を取り扱う資金移動業者(第二種資金移動業者)(現在の資金移動業者がこの類型です。)
C:「少額」(金額については、まだ確定していません。)の送金を取り扱う資金移動業者(第三種資金移動業者)

 なお、第三種資金移動業者については、送金コストのさらなる削減の観点から、利用者の資金について、供託等に代えて、分別した預金で管理することを認めるなど、規制緩和は図られています。

 もっとも、外部監査が義務付けられるなど、一部規制強化も行われています。

3割り勘アプリへの規制

また、今回の改正により、いわゆる収納代行のうち、「割り勘アプリ」のように、実質的に個人間送金を行う行為が、資金移動業の規制対象であることが明確化されました。

この法律の施行は、「法律の公布日から1年6ヶ月を超えない範囲で政令」で定める日」とされています。これからさらに具体的な規制の内容などが明らかになっていきます。

今回の新型コロナウイルスの影響もあり、少額送金などに対するニーズの高まりなどがあり、fintechの分野について多くの業者の参入が想定されます。1年6ヶ月の期間がありますので、施行日からすぐに事業を始められるよう、いまから情報収集を行ってはいかがでしょうか。